ReTERAS-Plus Blog
2025-09-08
【2025年最新】日本の住宅断熱性能を世界と比較|省エネ基準義務化で変わる住宅事情
日本の住宅の断熱・気密性能は、先進国と比較して低いレベルにあることが指摘されています。しかし、この状況は徐々に改善に向かっており、2025年4月からは全ての新築建築物に省エネ基準への適合が義務化されます。
本記事では、データに基づいて日本の住宅性能の現状を整理し、今後の改善への道筋を探ります。
住宅の断熱性能の指標である外皮平均熱貫流率(UA値)において、日本の基準は他国と比較して緩い傾向にあります。これは日本の気候条件や建築文化の違いも影響していますが、エネルギー効率の観点では改善の余地があります。
興味深い事実として、家庭一世帯当たりの年間エネルギー使用量を国別に比較すると、暖房用のエネルギーは欧米諸国が日本の4倍以上も使用しています。これは日本が「家全体を暖める欧米と、コタツなどで暖をとる日本の違い」によるもので、必ずしも日本の住宅性能が劣っていることを意味するものではありません。
2025年4月以降に着工する全ての建築物に「省エネ基準」への適合を義務付けることが決まっています。これは日本の住宅業界にとって大きな転換点となります。
義務化される主な内容:
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、建築物の省エネルギー性能の向上が求められていることが主な背景です。我が国のエネルギー消費量の約3割を占める建築物分野における取組が急務となっています。
「断熱性能」と同様に家の寒さに大きく関わり、海外では義務化されているのに日本ではされていないものが「気密性能」です。気密性能は断熱性能と合わせて効果を発揮するため、両方の向上が重要です。
HEAT20は、既存の省エネ基準よりも厳格な断熱基準として、民間主導で策定された指標です。健康で快適な温熱環境の実現を目指しており、高齢者の健康リスク軽減にも寄与すると期待されています。
2030年には「ZEH水準の省エネ住宅」が新築の標準となる方向で政策が進められています。これにより、エネルギー自給率の向上と環境負荷の軽減が期待されます。
断熱性能の向上により、以下の効果が期待できます:
光熱費の削減 断熱等級が5まで上がると、年間1万3800円の光熱費削減になるという試算もあります。
快適性の向上
高断熱住宅は以下の健康効果も期待されます:
断熱性能の引き上げを通じた省エネ効果は小さくないが、今後は冷暖房設備の更新や自然エネルギーの有効活用などが不可欠です。断熱だけでなく、総合的な省エネ対策が求められます。
省エネ住宅の普及には以下の要素が重要です:
日本の住宅断熱性能は確かに改善の余地がありますが、2025年の省エネ基準義務化を契機として、大きく変化していくことが予想されます。
重要なポイント:
これからの住宅づくりでは、単に法律に適合するだけでなく、長期的な快適性と経済性を考慮した高性能住宅を選択することが重要です。
住宅性能の向上は、個々の家庭の快適性向上だけでなく、日本全体の省エネルギー化とカーボンニュートラル実現に向けた重要な取り組みです。これを機に、ご自身の住まいの性能を見直してみてはいかがでしょうか。