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2025-09-09

窓の断熱リフォームガイド 夏も冬も快適な住まいを実現する方法

はじめに:なぜ窓の断熱が重要なのか

住宅の快適性を大きく左右するのが「窓」の性能です。窓は採光や換気に欠かせない一方で、熱の出入りが最も多い箇所でもあります。夏の暑さや冬の寒さ、そして年々高騰する光熱費に悩まされている方にとって、窓の断熱リフォームは効果的な解決策となります。

本記事では、窓の断熱性能の基本知識から具体的な改修方法、さらに2025年の補助金制度まで、専門的な内容を分かりやすく解説いたします。

第1章:窓の断熱性能を理解する基本知識

熱貫流率(U値)とは

熱貫流率(U値)とは、屋内と外などを隔てる材料(窓やドア)の熱の伝えやすさを表す数値で、「壁の両側の温度を1℃としたとき、1時間あたり1㎡を通過する熱量」のことです。

重要なポイント:

  • U値が小さいほど断熱性能が高い
  • 単位は「W/m²K」
  • 窓の場合は「Uw値」と表記される

日射熱取得率(η値)とは

日射熱取得率(η値)とは、サッシのガラスに入射した日射量に対する透過した日射量の割合で、η値が小さいほど日射の侵入を防ぎ、遮熱性能が高いとされます。

一般的な窓の断熱性能比較

標準的な断熱性能として、単板ガラス6.0W/m²K、複層ガラスで3.6W/m²K、Low-eガラスで1.6W/m²Kなどの数値が参考値として示されています。

性能比較の目安:

  • 単板ガラス:約6.0W/m²K(断熱性能が低い)
  • 複層ガラス:約3.6W/m²K(中程度の断熱性能)
  • Low-Eガラス:約1.6W/m²K(高い断熱性能)

※これらの数値はサッシ材質や構造により変動します

第2章:夏と冬、それぞれに効く窓断熱の原理

冬の寒さ対策

冬場における窓からの熱損失は住宅全体の熱損失の大きな割合を占めます。断熱性能の向上により:

  • 室内の暖かい空気の流出を防ぐ
  • 窓周りの冷気感を軽減
  • 暖房効率の向上
  • 結露の発生抑制

夏の暑さ対策

夏場は断熱性能に加えて「遮熱性能」が重要になります:

  • 外気の熱の侵入を防ぐ(断熱効果)
  • 日射による熱取得を抑制(遮熱効果)
  • 冷房効率の向上
  • 室内温度の安定化

第3章:効果的な窓断熱リフォームの種類と選び方

1. 内窓設置(二重窓化)

特徴:

  • 既存の窓の内側に新たに窓を設置
  • 比較的短時間で施工可能
  • 高い断熱効果が期待できる

メリット:

  • 既存窓を残すため工事が簡単
  • 防音効果も同時に得られる
  • コストパフォーマンスが良い

2. 窓交換(カバー工法・はつり工法)

カバー工法:

  • 既存サッシ枠の上から新しいサッシを取り付け
  • 外壁工事が不要
  • 開口面積がやや小さくなる

はつり工法:

  • 既存サッシを完全に撤去して新設
  • 高い性能向上が期待できる
  • 外壁の修復工事が必要

3. ガラス交換のみ

適用条件:

  • 既存サッシの状態が良好
  • 予算を抑えたい場合(真空ガラスの場合予算が内窓を超える)
  • 賃貸住宅などで大掛かりな工事ができない場合
  • 非常侵入口など内窓設置が好ましくない場合

4. 付属部材の活用

  • 外付けブラインド・シャッター
  • 遮熱フィルム
  • 断熱カーテン・ハニカムスクリーン

第4章:2025年の補助金制度「先進的窓リノベ2025事業」

制度の概要

「先進的窓リノベ2025事業」では、補助金の申請手続きや受け取りは「窓リノベ事業者」が行い、お客様が直接申請することはできません。

補助金額と対象

1戸あたり最大200万円まで、対象費用の2分の1にあたる金額を補助されます。

対象となる工事:

  • 既存住宅の窓・ドアの断熱改修
  • 登録事業者による施工
  • 一定の性能基準を満たす製品の使用

申請の流れ

  1. 事業者選定:登録された窓リノベ事業者を選定
  2. 現地調査・提案:住宅の現状調査と改修プランの提案
  3. 契約締結:工事請負契約の締結
  4. 補助金申請:事業者による補助金申請手続き
  5. 工事実施:承認後の工事実施
  6. 完了報告:工事完了後の報告と補助金受給

第5章:窓断熱リフォームの具体的な進め方

STEP1:現状の性能診断

専門業者による調査項目:

  • 既存窓の種類・サイズ・性能測定
  • 住宅の断熱仕様確認
  • 結露や劣化状況のチェック
  • 熱画像による熱損失箇所の特定

STEP2:改修方針の決定

優先順位の考え方:

  1. 高優先度:居室の大きな窓、西面・南面の窓
  2. 中優先度:その他の居室窓
  3. 低優先度:納戸・トイレ等の小窓

性能目標の設定:

  • 現行基準(地域区分に応じた基準値)への適合
  • より高性能な基準(HEAT20等)への挑戦
  • 予算との兼ね合いを考慮した現実的な計画

STEP3:製品・工法の選定

選定の考慮事項:

  • 住宅の構造・築年数
  • 居住者のライフスタイル
  • 予算と期待効果のバランス
  • メンテナンス性

STEP4:信頼できる業者の選定

窓の断熱は気密性能にも関わるので業者選びはかなり重要です。補助金の知識はさることながら、建物の種類や既存窓の種類、方位によるガラス選択、既存窓の傾きによる施工判断、窓以外の知識など現場状況による専門知識及び窓の商品知識が必要です。質問した時に明確な答えをかえしてくれるかどうかを確認しておきましょう。

業者選定のポイント:

  • 窓リノベ事業者への登録状況
  • 地方自治体の補助金の活用状況
  • サーモグラフィーによる説明有無
  • 断熱リフォームの施工実績
  • 専門知識があるか無いかの確認
  • 明確で詳細な見積もり提示(現地調査レポートなど)

たとえ知識が豊富でも実務は別の問題です。メーカー別に商品バリエーションも異なります。業務に不慣れだと要望と異なる提示をしたり、費用のつじつまが合わなかったりと、間違って希望とは違った発注をしてしまったりという事も十分考えられます。

やり取りをしていて「あまり慣れていないのかな?」と感じる会社は避けたほうが後々のトラブルを未然に防ぐことが出来るでしょう。

STEP5:施工と効果の確認

施工後の確認項目:

  • 断熱性能の測定・確認
  • 気密性の確認
  • 結露の発生状況
  • 室内環境の改善度

第6章:コストと効果のバランスを考える

投資回収の考え方

窓の断熱リフォームは初期投資が必要ですが、以下の効果により長期的には回収が期待できます:

直接的効果:

  • 冷暖房費の削減
  • 設備機器の効率向上と長寿命化

間接的効果:

  • 快適性の向上
  • 健康面でのメリット(ヒートショック防止等)
  • 住宅の資産価値向上

段階的リフォームの提案

予算制約がある場合は段階的な改修も有効です:

第1段階:効果の大きい主要な窓から開始 第2段階:その他の居室窓の改修 第3段階:付属部材や小窓の改修

第7章:失敗しないための注意点

よくある失敗例と対策

  1. 性能重視で予算オーバー
    • 対策:優先順位を明確化し、段階的実施を検討
  2. デザイン性を軽視
    • 対策:機能性と美観のバランスを考慮した製品選定
  3. アフターメンテナンス未考慮
    • 対策:メンテナンス性と費用を事前に確認

工事中の生活への配慮

  • 工事スケジュールの事前調整
  • 仮設対策の準備
  • 近隣住民への配慮

まとめ:快適で省エネな住まいを実現する窓断熱リフォーム

窓の断熱リフォームは、住宅の快適性向上と省エネ化を同時に実現できる効果的な投資です。2025年の補助金制度を活用することで、経済的負担を軽減しながら高性能な住まいを実現できます。

成功のポイント:

  1. 正確な現状把握:専門業者による詳細な診断
  2. 適切な性能目標:住まい方と予算に応じた現実的な計画
  3. 信頼できる業者選定:実績と技術力のある登録事業者
  4. 補助金制度の活用:制度を理解した上での効果的な活用

窓の断熱性能向上は、単なる光熱費削減以上の価値をもたらします。家族の健康と快適性、そして住まいの資産価値向上のために、ご相談いただき、最適な断熱リフォームを検討してみてください。

断熱リフォーム専門店
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